大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ラ)298号 決定

抗告の理由は、「抗告人は昭和四四年四月三日債権者に、執行債権金三二一万七七七四円の一部として金一〇〇万円を弁済するとともに右債権者より残余の債務の免除を得たので、本件執行債権はすべて消滅した。よつて本件競落は許されない。」というのであり、抗告人提出の「弁済領収並に債務免除証」(民事訴訟法第五五〇条第四号の証書に該当する。)、当裁判所のなした「弁済領収並に債務免除証に関する照会」に対する本件強制競売申立人の回答書によると抗告人はその主張の日に債権者に対し本件執行債権中金一〇〇万円を弁済し、同時に債権者は抗告人に対しその余のすべての債務(債権者がすでに支出した本件執行手続費用についての債務も含む)を免除したことが認められる。そして右のように債務が消滅しても債務名義の効力が当然に消滅することとはならないが、債務を弁済しその証明書が執行機関に提出されたときには執行手続の続行は許されないのであつて、競落許可決定言渡し後に右事態が生じた場合も同様に解すべきであるので民事訴訟法六八一条二項六七二条一号により原決定を取消し、本件競落を許さないこととする。(ただし、本件競売手続を終了させるためには競売申立の取下を、更に抜本的には本件債務名義に対する請求異議の訴を提起しその判決により債務名義の執行力を排除することを要する)。

(川添利 荒木 田尾)

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